水谷康彦 
今回、re-present第一回の発表をやらせていただきました。今回のテーマを決めるにあたって、清水君や、蜂須賀君とも相談したのですが、まだ、立ち上げたばかりの集まりということもあり、テーマ決めの段階で苦労しました。というのも、あまり、専門的すぎる話にすると、みんな理解できず、興味持てず、議論にもならない、というようなことになってしまいますし、逆に、誰でも分るような話にしてしまう(つまり、みんなが議論をするのについていけそうな話にしてしまう)と、つまり、医学という専門分野を学んでいる、僕水谷康彦が、やらなくてもいいような(他の誰かでもできるような)発表になってしまうというようなジレンマがあったからです。
最終的に、テーマを「病理学」にしました。この、「病理学」が何であるかは後述するとして、なぜこれをテーマにしたかを述べたいと思います。僕が、三年生で参加した学生研究の科目で、病理学を選択したというのがあります。研究に参加したとはいえ、本当の研究員というわけではなく、それほど専門的、包括的内容が習得できたとは思えませんが、「病理学」の魅力、特殊性、そして日常診療との関わりを知ることができ、それを伝えることができたらと思いました。
大きなテーマとして、「病理学」を挙げましが、実際には、「病理学という学問について」、「たばこと病理学」という、二つの発表をしました。以下に、その発表の概略を記したいと思います。

病理学という学問について
病理学pathologyは、語源から考えますと、pathos(病気)+logos(学問)つまり病気についての学問ということができます。現代では、基礎医学的側面と臨床医学的側面を同時に持ち合わせた特殊な学問ということができます。基礎医学とは、文字通り医学の基礎をなす部分であり、その目的は、学問追求にあり、診療することを目的とした学問ではありません。具体例としては、解剖学(ヒトの体の構造を学ぶ学問)や生理学(ヒトの体の仕組みを学ぶ学問)などが、挙げられます。臨床医学とは、「床(=病床)に臨む」医学、言い換えると、診療を目的とした、実践的医学です。具体例は、内科学、外科学などです。そして、病理学は、病気の原因の究明などを行ったり(基礎医学的側面)、がんの病理診断など行ったり(臨床医学的)しており、両側面を持っていると言えます。
上に挙げた病理学の二つの側面の内、臨床医学的な面は、実際にみなさんが病院行った時に、知らない間に関係していることもあり、身近な存在であると言えます(とはいえ、病理医や、病理診断という言葉は、あまり馴染みがないと思われます)。病理学の臨床医学的側面を主な仕事としている医師を、病理医といいます。そして、その方たちの仕事の中に、病理診断などがあります。
病理診断とは患者さんの体より採取された病変の組織や細胞から作られた標本を顕微鏡で観察し診断することで、特にがんであるかどうかの判断が、この病理診断でなされます。尚、今回の発表では、この病理診断がどのように実施されているかを比較的詳しく説明しましたが、ここでは割愛させていただきます。
最後に、病理学の新しい側面として、「病理外来」というものが、最近話題になっておりますので、説明したいと思います。これは、日本医科大学付属病院病理部などで行われている、病理医によるセカンドオピニオンの制度であります。この利点して、@病理診断を下した者からの直接の話が聞ける、A患者さんの体の一部である組織を観ることができその説明が受けられるなどが挙げられます。
以上が、今回、僕が、病理学について、みなさんにお伝えしたかったことです。

たばこと病理学
たばこの警告表示が去年から変更され、内容が具体的なものとなりました。(それでも、世界各国のかなりストレートかつ視覚に訴えるものと比較しますと、かなり、マイルドな表現ではありますが。)この新しくなった表示では、いくつかの病気が具体的に挙げられています。僕は、今回の発表で、肺気腫を取り上げました。そして、たばこと肺気腫との関連を病理学的視点で説明しました。
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